頭痛の診断

2008年10月 3日 (金)

頭痛診断のための検査

みなさん、こんにちはhappy01

低気圧が近づき、低気圧頭痛の人には憂鬱な時期になりましたがいかがお過ごしでしょうか?

   『第5話 頭痛診断のための検査

前回は、自覚症状からの頭痛等のタイプについてお話しいたしましたが、今日は頭痛診断時に必要な検査についてお話しいたします。

 1)神経学的検査

    自覚症状が明らかになった段階で、他覚的徴候の有無

   を知ることで頭痛の陰に潜んでいる重大な疾患を見分ける

   ことが可能となります。その中で、以下の項目においては欠

   かすことのできない検査で、陽性が認められる場合はそれ

   ぞれの病態の可能性を考えます。

  (1)髄膜刺激徴候の有無

   ①項部硬直

     仰臥位にし、そっと頭を持ち上げる

       → 抵抗がある場合、くも膜下出血または髄膜炎

   ②Kernig徴候

     仰臥位で股関節を持ち上げ、膝関節を押さえながら下

    腿をそっと持ち上げる

       → 股関節と膝関節を90°にまげ下腿を受動的に

         伸展させたとき、上腿と下腿の角度が135°以上

         にならない場合は、くも膜下出血または髄膜炎

  (2)局所神経徴候の有無

   ①片麻痺、失語症が認められる場合

      → 脳腫瘍、脳出血、慢性硬膜下血腫、ヘルペス脳炎

   ②眼球運動障害が認められる場合

      → 結核性髄膜炎、脳出血、脳腫瘍

  (3)眼底検査

   ①うっ血乳頭が認められる場合

      → 脳圧亢進(脳腫瘍、慢性硬膜下血腫)

   ②網膜前出血の有無

      → 出血が認められれば、くも膜下出血

  (4)圧痛点の検査

     後頭下部が痛い場合は、緊張型頭痛

  (5)叩打痛

   ①前頭部、上顎部が痛む場合

     → 急性副鼻腔炎

   ②顎関節が痛む場合

     → 顎関節炎

 2)頭痛の補助検査

    頭痛の補助検査には、CT、MRIなどの解剖学的検査と、

   脳波などの生理学的検査、血液や髄液などの生化学検査

   の実施が重要です。

 (1)頭部CT、MRI

    慢性頭痛では異常を認めないが、くも膜下出血、硬膜下

   血腫、脳腫瘍などの器質的頭痛においては出血など異常

   が認められ鑑別が重要となります。

 (2)髄液

    判定結果が不適の場合は、くも膜下出血や髄膜炎の可

   能性があります。

 (3)血沈、CRP

    亢進結果の場合は、側頭動脈炎、髄膜炎や脳炎が疑わ

   れます。

 (4)脳波

    てんかんの場合異常脳波を認めます。

 (5)表面筋電位

    緊張型頭痛発症時の姿勢で、僧帽筋に強い群化放電を

   認めます。

            <主な疾患と必要な検査項目例>

       ①突然締めつけるような頭痛

          → くも膜下出血? 

              → CT:出欠の有無、 MRA:脳動脈瘤?

       ②発熱・頭痛が日増しに強まる

          → 髄膜炎? 

              → 積極的に髄液検査

       ③両額を圧迫されるような頭痛

          → てんかん? 

              → 脳波

       ④片側の額を圧迫するような頭痛

          → 局在性てんかん? 

              → 頭痛の反対側に病変? 

                   → CT、MRI

以上、症状の観察によりそれぞれ疑わしい症状の検査を行い、病態を絞っていき診断を行いますconfident

次回からは、それぞれの頭痛に関してお話ししていきますwink

でわ、このへんで。。。paper 

     

           参考:Primary care note 頭痛[第2版] / 日本医事新報社

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2008年9月26日 (金)

自覚症状と頭痛のタイプ

みなさん、こんにちはhappy01

秋が訪れ、朝晩かなり気温が低くなってきていますが、体調はいかがですか?

先週は台風が日本を縦断せず太平洋側を横ひってきましたが、台風の季節ですので頭痛持ちの方は十分気をつけてください。。。weep

   『第4話 自覚症状と頭痛のタイプ

前回までは、診察時における頭痛診断の目安について2回に分けてお話ししましたが、本日は自覚症状と想定される頭痛のタイプについてです。

 1.同様な痛みをこれまでも繰り返し経験している頭痛のタイプ

   (慢性群発性頭痛)

      → 緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、てんかん性頭痛

 2.時間的な変化として、これまでに経験したことのない激しい

   頭痛のタイプ(急性ないし亜急性頭痛)

  1)突然に発症(2~3日以内の経過) → くも膜下出血

  2)発熱とともに数日の経過 → 髄膜炎

  3)上気道炎に引き続き1~2週間で発症 → 急性副鼻腔炎

  4)発熱とともに1~3週間の経過 → 結核性髄膜炎、真菌性髄膜炎

  5)2~4週間で徐々に発症し増悪 → 脳腫瘍、慢性硬膜下血腫

 3.痛みの部位によるタイプ

  1)左右差あり → 片頭痛、器質性頭痛

  2)後頭部 → 緊張型頭痛

  3)側頭部 → 片頭痛、側頭動脈炎

  4)眼窩周囲 → 群発頭痛、急性副鼻腔炎

  5)眼窩後部 → 緊張型頭痛

  6)両側前頭部 → てんかん

 4.痛みの性質によるタイプ

  1)後頭部の重い頭痛、鈍痛 → 緊張型頭痛、脳圧亢進症状

  2)側頭部の拍動性頭痛 → 片頭痛などの血管性頭痛

                    高血圧症(両側性)

  3)焼け火箸をあてたような痛み → 群発頭痛

  4)ギューッと圧迫するような痛み → てんかん性頭痛

  5)前頭部がふくれ上がるような痛み → てんかん性頭痛

  6)頭全体を締め付けるような痛み → くも膜下出血

  7)側頭部のズキズキッとする痛み → 側頭動脈炎(片側性)

 5.随伴症状の有無によるタイプ

  1)閃輝暗点が先行する → 典型的片頭痛

  2)嘔気、嘔気を頻発 → 典型的片頭痛、脳圧亢進症状

  3)後頸部、後頭部のこり → 緊張型頭痛

  4)貧血、低血圧 → 緊張型頭痛

  5)感冒後、後鼻漏 → 急性副鼻腔炎

  6)顔面局所の発赤 → 急性副鼻腔炎

  7)結膜充血、鼻汁、流涙 → 群発頭痛

  8)発熱、項部硬直 → 髄膜炎

  9)項部硬直、意識障害 → くも膜下出血

 10)手足のふるえ、けいれん → てんかん

 11)患側の視力低下 → 側頭動脈炎

 12)多発筋肉痛 → 側頭動脈炎

 13)収縮期血圧220mmHg以上 → 高血圧性頭痛

 14)顔面の帯状疱疹 → 帯状疱疹による髄膜炎、髄膜刺激徴候

以上、症状によっては単なる頭痛ではなく、他の病気による徴候としての頭痛もあります。この自覚症状は、頭痛診断においては重要な情報であり、治療において急を要する必要があるのか、無いのかを判断するポイントにもなります。

従って、診察時にはきちんと症状を伝えることが的確な治療へと繋がりますので、頭痛がひどくなったらできる限りメモにその経時的な症状を書き取っておくことも重要となります。

次回は、頭痛の診断を行う上での検査についてお話しいたします。

でわ、この辺で。。。paper

          参考)Premary care note 頭痛[第2版] / 日本医事新報社

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2008年9月19日 (金)

頭痛診断の目安② - 頭痛の種類の絞り込み -

みなさん、こんにちはhappy01

台風が日本を縦断しながら進んでいますが、頭痛がひどくなっている人はいませんか? ひょっとして頭痛がひどくなっている人もいるのでは。。。weep

   『第3話 頭痛診断の目安② 

            - 頭痛の種類の絞り込み -』

前回は、神経学的異常を含めた観察により、緊急に他科受診や、検査、処置を必要とする頭痛でないことを確認したら、次に頭痛の種類の絞り込みのために患者さんに問診をしていきながら、頭痛の全体像と本質を見極めることが重要です。gawk

 1)病歴

   頭痛が始まったときの時期や頭痛で診察を受けたことがあるかを確認             

       → 患者の回答から考えることは以下の内容である

    ①頭痛の始まり時期が20歳前後の場合、片頭痛を考慮する

    ②群発頭痛も概して若年期から出現する

    ③緊張型頭痛では出現時期の同定ができないことがある

    ④新規発症持続性連日性頭痛では、出現の時期を明確に同定できる

 2)頭痛の出現状況

   頭痛の出現時間(時々・ずっと)と痛む強さの浮沈みの確認をしながら現

  在の受診の目的となっている頭痛の特徴について聞く

       → 患者の回答から考えることは以下の内容である

    ①片頭痛、群発頭痛、頭部神経痛、労作性頭痛では出現時と消失時

     が明確

    ②緊張型頭痛では、受診に至る場合には持続性で浮き沈みがない

    ③持続性で浮き沈みが明確な場合は、変容型片頭痛を考える

 3)頭痛の一連性の確認

   今までの頭痛が発生するまでの流れと、その痛みの質などの確認

       → 患者の回答から考えることは以下の内容である

    ①従来の頭痛に比べて、痛みが強い、痛む時間が長いなどの場合は

     ほとんどが量的な変化と考え一連の頭痛の可能性が高い

    ②痛みの質的に異なる場合は、器質性疾患を考える必要がある

 4)頭痛の強さ

   頭痛が強くなったときの痛みの度合いと疼痛時の作業の可否の確認      

       → 患者の回答から考えることは以下の内容である

    ①群発頭痛は、常に痛みが強い

    ②片頭痛は、痛みが中程度または強く、中程度の痛みでは作業が何

     とかできる       

    ③労作性頭痛では、痛みが強いがいつもではない

    ④低髄液圧性頭痛では、作業はほとんど可能

    ⑤緊張型頭痛では、痛みはそれほど強くなく、痛みが強いという人は

     精神 的な問題がある可能性が大きい

    ⑥頭部神経痛では、一瞬の痛みであるため回答に困る事が多い

 5)頭痛の持続時間の確認

   頭痛が発現してからどのくらいの時間継続するのかを確認     

       → 患者の回答から考えることは以下の内容である

    ①片頭痛では短くて5~6時間、長ければ3日間続くが、平均は24時

     間程度

    ②群発頭痛では、1~3時間程度

    ③緊張型頭痛では発作型頭痛ではないので、明確な回答は得られない

    ④頭部神経痛は一瞬の痛みを反復するものであるが、一瞬の痛みと答

     える人は少なく、基本的に反復を繰り返している時間を答える

 6)頭痛の性状の確認

   頭痛はどのような感じの痛みかを確認

       → 患者の回答から考えることは以下の内容である

    ①脈と合致している痛みなら片頭痛を疑う

    ②同じ血管由来の頭痛である群発頭痛では拍動性を感じる人もいる

     が、痛みが激しいため基本的には感じないと答える人が多いく

    ③低髄液圧性頭痛では、頭蓋内圧変化のため軽い拍動性を感じるこ

     とがある

    ④脳圧亢進症状でも拍動性を感じることがある

    ⑤労作性頭痛は一般的には非拍動性であるが、拍動間が明確にある

     症例も時々ある

    ⑥髄膜炎でも稀に拍動間を感じることがあり、この拍動間は頭蓋内圧の

     変動によるものと考えられる

    ⑦緊張型頭痛は、必ず非拍動性である

以上の問診により、ある程度頭痛の種類が絞り込まれてくると思います。この絞られた結果を基に本質である頭痛の診断をし、治療指針を決めて行くことが必要です。

では、次回は自覚症状と頭痛のタイプについてお話ししましょうconfident

今日は、この辺で。。。paper

      参考:頭痛クリニック 1 臨床医のための頭痛診療攻略本 / 診断と治療社 より一部抜粋

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2008年9月12日 (金)

頭痛診断の目安① - 神経学的異常を含めた観察 -

みなさん、こんにちはhappy01

ここ数日昼と夜の気温の変化が大きく、体調はいかがでしょうか?

ひょっとして頭痛がひどくなったり、ここ数日痛みが出てきている人もいるのでは。。。

   『第2話 頭痛診断の目安① 

        - 神経学的異常を含めた観察 -』

頭痛は、様々な種類のものがあり、ある程度絞り込んだうえでどの頭痛かを見極める必要があります。

頭痛を主訴として病院を訪れる人の大半は、必ずしも一次頭痛ばかりではなく、神経痛や一部の二次頭痛も含まれています。しかし、髄膜炎、くも膜下出血、硬膜外血腫、硬膜下血腫、脳腫瘍など、緊急入院で処置を必要とする場合の危険な頭痛も含まれています。診断をする上で、これらの緊急を要する危険な頭痛を見抜くことが重要となります。

そこで、今回は神経学的異常を含めた観察についてお話し致しますgawk

  (1)顔面の観察

    顔面の表情などについては、観察は重要で短時間のうちに確認・把握

   できる内容です。

    1.苦悶様顔貌・・・苦痛の強い患者で、苦悶の表情である

      この場合は、器質性頭痛ではなく、くも膜下出血、慢性硬膜下血腫

     出血・腫瘍による脳圧亢進症状、髄膜炎を疑う必要がある。   

    2.側頭動脈の怒張

      特に男性高齢者では、側頭動脈炎を疑う必要がある。片頭痛の患

     者でも、しばしば発作中の側頭部の血管怒張を訴えることがある。触

     診によって拍動の有無から動静脈の鑑別が可能である。

    3.眼球結膜の充血

      片側なら発作中の群発頭痛を疑います。しかし、現実的に群発頭痛

     の発作中の患者を診られることは極めて稀である。

    4.疼痛性のチック

      三叉神経痛を疑います。チック様の動きがあるときに同時に痛みが

     存在しなければ、三叉神経痛ではなく、片側顔面けいれんの可能性

     が考えられます。また、片頭痛、群発頭痛の発作時に出現することも

     あります。

    5.頭部の姿勢異常

      頭頸部ジストニー(痙性斜頸)による頭痛を疑います。異常姿勢とし

     ては回旋、傾斜、偏倚、肩挙上など様々です。くいしばりなどの咬筋

     ジストニアを同時に伴うこともあります。

  (2)体幹・四肢の観察

     患者の動作を観察することにより、微妙な姿勢の動きからいくつかの

    病状の決め手となる情報が得られる場合があります。

    1.失調

      小脳や後頭蓋窩の血管障害では頭痛が前景に現れやすく、また、

     精髄小脳変性症やパーキンソン病では。起立性低血圧とともに低髄

     液圧性頭痛を呈することがあります。

    2.ふらつき

      明確な失調とはいえないふらつきは多くの頭痛で観察され、脳底型

     片頭痛の発作時にみられる。小児片頭痛でも外観としてとらえられる

     ことは多くはありませんが、ふらつきが発作中に併存することは少なく

     ありません。また、低血圧や起立性低血圧が関与してふらつく場合に

     は低髄液圧性頭痛を考える必要があります。

    3.運動麻痺

      片側麻痺が認められる場合には、脳血管障害、脳腫瘍などのほか、

     片側麻痺型片頭痛、片頭痛性脳梗塞なども考えなければなりません。

  (3)問診の最初の段階で確認できること

     患者との問診の際に質問する内容に対して回答する態度・様子など

    の観察で、ある程度確認ができます。

     この時点で頭痛が存在する場合には、器質障害の可能性も考えられ

    ます。器質障害が予測されたら、諸検査あるいは脳神経外科などの他

    科紹介を考える必要があります。機能性頭痛でかつ強いものであれば

    疼痛緩和処置も念頭に置く必要があります。

     偏頭痛や群発頭痛では、錯乱性偏頭痛のような特殊の場合を除き、

    頭痛の発作中であっても明確な回答をすることができます。この時点で

    頭痛が存在しなかったり、出現していたとしても軽微なものであれば、

    落ちついて徐々に病態を絞り込んでいきます。

    1.回答が不明確な場合

      軽度の意識障害がある場合と、精神的要因が強い場合とが考えら

     れます。

    2.声が大きく良く喋る場合

      通常頭痛が存在する患者は大きな声で喋ることはないため、精神

     的要因の緊張型頭痛の可能性が高く、特にヒステリーと関連が深い

     とされている転換性頭痛(現在の診断基準では緊張型頭痛に含まれ

     る)の可能性が高いとされています。

    3.声が小さい場合

      片頭痛の発作は音過敏のため、大きな声を避ける患者はしばしば

     います。髄膜刺激症状、脳圧亢進症状でもこの傾向が高いと言われ

     ています。

以上のように、診断時にある程度病態を絞ることが可能であります。しかしながら、問診レベルであるので最終的にはきちんとした検査等の診断が必要な場合もあります。

頭痛は、キチンと治したいと誰しもが思うことです。従って、診察の際には現状の症状をきちんと話すことが大切です。頭痛は本当にしんどいものです。何とか、治したいものですね!

尚、記載内容や頭痛に関しまして、ご意見やご質問がある場合はコメントにて投稿をお願い致します。可能な限り24時間以内でご回答をしたいと思っております。

では、今回はこの辺で。。。scissors

              参考:頭痛クリニック 1 臨床医のための頭痛診療攻略本 / 診断と治療社 より一部抜粋

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